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Global Scan 2026年 6月号

「食事で変わる?脳の働き」 ~ラウリン酸と記憶のつながり~

2026.06.01

参考文献

はじめに


私たちの毎日の食事は、体だけでなく、脳のはたらきにも影響を与えることが知られています。

特に、脂質と糖質をどのように摂るかによって、脳の炎症や不安、記憶のはたらきに影響する可能性があると考えられています。

一方で、脂質といっても種類はさまざまで、体の中でのはたらきはそれぞれ異なります。

そこで注目されたのが、ココナッツオイルに多く含まれる脂肪酸の一つ「ラウリン酸」です。

今回の研究では、脂質の多い食事に加え、果糖を含む飲み水を与えた食事条件のもとで、ラウリン酸が脳の炎症や行動、記憶にどのように関わるのかが調べられました。

どのような研究?


今回の研究は、トルコの大学(Hacettepe University)の協力を得て、6週間にわたって実施されました。

この研究は、マウスを対象に行われました。
マウスは3つのグループに分けられ、6週間それぞれ異なる食事を与えられました。


6週間後、記憶力を調べるために、「新奇物体認識試験」というテストを行いました。

このテストでは、マウスが新しい物体にどれだけ興味を示すかをもとに、記憶のはたらきを評価します。

まずマウスに2つの同じ物体を見せて慣れさせ、その後、一方を新しい物体に入れ替えます。

新しい物体を覚えていない場合は反応が弱く、覚えている場合は、新しい物体により強い興味を示します。

そのため、新しい物体にどれだけ興味を示したかをもとに、記憶のはたらきを評価します。

物体を覚えさせた①1時間後(短時間)と②24時間後(長時間)の両方でテストを行い、記憶の変化を調べました。

この結果は、「識別指数(DI)」という値で表されます。

識別指数は、新しい物体に興味を示した時間を、2つの物体に興味を示した時間の合計で割って計算され、%で表されます。

つまり、新しい物体に多くの時間を使うほど、識別指数が高くなり、記憶力が高いと判断されます。

研究の結果


①1時間後(短時間)

グループBでは、グループAと比べて、識別指数がやや低くなりました。

一方で、ラウリン酸を与えたグループCでは、この値が大きく上昇し、最も高い結果となりました。


②24時間後(長時間)

24時間後の結果では、グループBで識別指数の低下がよりはっきりと見られました。

しかし、ラウリン酸を与えたグループCでは、この値が大きく改善しました。


さいごに


今回の研究から、日々の食事の内容やバランスが、脳のはたらきにも関わる可能性が示されました。

また、ココナッツオイルに多く含まれる脂肪酸の一つであるラウリン酸について、記憶のはたらきとの関係を考えるうえで、興味深い結果が報告されています。

脂質は一律に避けるものではなく、どのような脂質を、どのような食事バランスの中で摂るかが大切です。

毎日の食事を見直すうえでも、脂質の「量」だけでなく「質」に目を向けていきたいですね。