Global Scan
2026年 9月号
「ココナッツオイルの力で筋力をキープ」 〜ココナッツオイルが筋萎縮を防ぐ可能性〜
2026.09.01
今月のグローバルスキャンは 2025年6月に発表された論文を要約してお届けいたします。








参考文献
はじめに
年齢を重ねるにつれて問題となるのが、筋肉量や筋力が低下する「サルコペニア」です。運動不足や高脂肪・高糖質の食生活がそのリスクを高めるとも言われています。

サルコペニアが進むと、歩行や立ち上がりなどの日常動作に影響することがあります。筋肉の状態には、加齢だけでなく、運動や栄養など、さまざまな要因が関係します。
中でも、毎日の食事の中で使う油の種類が筋力の維持に関わっている可能性があることが、最新の研究で注目されています。
ココナッツオイルに多く含まれる中鎖脂肪酸は、ラードに多く含まれる長鎖脂肪酸と比べて、体内で速やかに代謝されるとされています。
今回の研究では、ココナッツオイルを含む食事が筋肉に与える影響について詳しく調べました。

どのような研究?
京都府立医科大学で行われたこの研究では、マウス18匹を3つのグループ(各6匹)に分け、12週間異なる食事を与えました。

この研究では、食事の違いが筋肉に与える影響を次の2つの指標で測定しました。
①握力(筋力):
各グループのマウスの握力を測定し、食事の違いが筋力にどう影響するかを比較しました。

♦ 握力の測定方法について
マウスの握力は、専用のデジタル力測定計を使って測りました。マウスが金属製のバーをつかんだときに発生する「最大の力」が数値として記録される仕組みです。
1回の計測は1分間隔をあけて3回くり返し、その平均値を使いました。さらに、体の大きさによる違いを公平に比べるために、測定した力をマウスの体重で割った値(体重補正値)を分析に使いました。
♦ 握力が教えてくれること
「握力だけで何がわかるの?」と思われるかもしれません。しかし握力は、手だけでなく全身の筋肉量や筋力を反映する指標として、医療現場でも広く活用されています。
一見シンプルに見えるその動作の中に、体の奥深い情報が詰まっているのです。
②MuRF1(筋萎縮マーカー):
食事の違いによって、筋肉の分解に関わる「MuRF1」というタンパク質の量がどう変わるかを調べました。
なお、数値はグループA(対照食)の値を1として比較しています。

研究の結果
①握力(筋力)の変化
ラードを含む食事のグループBでは、対照食のグループAよりも握力の低下が見られました。
一方、ココナッツオイルを含む食事のグループCは、グループA・グループBを大きく上回る握力が示されました。

②MuRF1(筋萎縮マーカー)の量の変化
ラードを含む食事のグループBでは、筋肉の分解を促すMuRF1の量が対照食のグループAより多くなりました。
一方、ココナッツオイルを含む食事のグループCでは、MuRF1の量が対照食グループよりもさらに少なく抑えられており、筋肉の分解を防ぐ可能性が示されました。

さいごに
今回の研究では、ラードを含む高脂肪食では握力の低下が見られましたが、ココナッツオイルを含む食事ではそのような低下は見られず、むしろ対照食を上回る筋力を維持していました。
この結果から、ココナッツオイルが筋力の維持に関わっている可能性が考えられます。
また、筋肉の分解を抑える効果も見られており、ココナッツオイルは、筋力の維持をサポートできる可能性があることが示唆されました。
毎日の料理にココナッツオイルを取り入れることが、いつまでも元気に動ける体づくりの一助になるかもしれません。
