MCTと認知機能の可能性を探る
2024年8月
世界各地から発信される最新の研究報告をお伝えします
今月のグローバルスキャンは2023年10月に発表された論文を要約してお届けいたします。
はじめに
これまでの研究によって、適度な運動は認知機能の向上に繋がることが明らかになっていますが、心拍数を急速に上げるような強度の高い運動は、逆に認知機能を低下させる可能性があります。
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運動が認知機能に与える影響については未だ完全に解明はされていませんが、運動は特定の神経伝達物質の濃度を上げるため、適度な分泌は認知機能に良い影響を与えます。
しかし、強度の高い運動や長時間の運動は神経ネットワークに損傷を与え、認知機能に悪影響を及ぼす可能性が一部の研究で示唆されています。
特に運動量の多いスポーツ選手は、運動パフォーマンス自体を低下させることなく、運動後の認知機能を維持する必要性があります。
そこで今回注目したのは、脳内のエネルギー代謝を向上させ、加齢とアルツハイマー病などの認知機能を向上させる可能性のあるMCT(中鎖脂肪酸)です。
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長時間強度の高い運動を行うことで引き起こされる認知機能の低下が、MCTの摂取によって改善されると仮定して試験を実施しました。
どのような研究?
今回の試験は台湾の嘉義基督教医院の協力を得て、計14日間にわたり実施されました。
対象は健康上の問題がない大学生19名とし、2つのグループにランダムに分けられました。
(次頁 図1参照)
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参加者はアルコールや過剰なカフェインの摂取を控えること以外は、通常通りの食事をしました。
また、参加者はそれぞれ与えられたゼリーを2週間摂取後、1時間にわたって強度の高い運動を行いました。
そして、運動の前後でトレイルメイキングテストと呼ばれる認知テストを受けました。
今回の試験では評価基準として、トレイルメイキングテストの①回答時間と②スコアの平均値を算出しました。
試験の結果
⓵回答時間
グループBにおける運動後の回答時間は運動前より長くなり、認知機能の低下を示唆しましたが、MCTを摂取したグループAでは運動後も運動前の水準を維持しました。
(表1参照)
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②スコア
グループBでは運動後のスコアが大幅に低下しましたが、MCTを摂取したグループAでは、運動後のスコアは運動前と同等のレベルを維持しました。
(表2参照)
さいごに
本研究の結果として、長時間強度の高い運動によって引き起こされる認知機能の低下は、MCTの摂取によって軽減する可能性が示されました。
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今後の研究では運動能力の高いスポーツ選手などを対象とした試験を行い、より効果的なMCTの摂取方法が明らかになっていくでしょう。
参考文献:https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0031938423002093?via%3Dihub
訳:Nanami Hamashita