MCTオイルマッサージの可能性 ~ 早産児の成長への影響 ~

MCTオイルマッサージの可能性 ~ 早産児の成長への影響 ~

2024年7月

世界各地から発信される最新の研究報告をお伝えします

今月のグローバルスキャンは2021年7月に発表された論文を要約してお届けいたします。

はじめに

「早産児」とは、通常の妊娠期間(37〜42週)よりも短い37週未満で生まれた赤ちゃんを指し、彼らの身体機能は未熟な場合が多くあります。

このような早産児の発育を促進するための効果的な手段の一つとして、マッサージ療法が広く知られています。

未だに確実な結論には至っていませんが、早産児におけるマッサージの効果については多くの研究が行われており、マッサージが自律神経系を活性化させ、血清インスリン値や体重を増加させる可能性が示唆されています。

しかし、早産児は表皮が未熟で皮膚から水分が多く失われる状態にあり、感染症にかかるリスクがあります。

そこで今回注目したのは、エモリエント作用と抗酸化作用によって感染症のリスクを低減し、早産児の体重を増加させて、さらに皮膚の状態を改善する可能性がある「MCTオイル」です。

本研究ではMCTオイルによるマッサージが、早産児の成長にどのような影響を与えるかを調査しました。

どのような研究?

研究ではMCTオイルによるマッサージが、早産児の成長にどのような影響を与えるかを調査しました。

今回の試験は台湾の嘉義基督教医院の協力を得て、計7日間にわたり実施されました。

対象は体重1,500〜2,000gの早産児48名とし、3つのグループに以下のようにランダムに分けられました。 (図1参照)

図1

グループAとグループBには以下の内容で1日3回、計7日間マッサージを行い、評価基準として体重の変化を算出しました。 (図2参照)

図2

試験の結果

1日目に計測した体重を基準として、2日目から7日目までの計測体重と基準値との統計値を算出しました。

MCTオイルでマッサージをしたグループAはグループB、Cと比較して、有意な体重増加が確認されました。(表1参照)

表1

さいごに

今回の研究結果として、MCTオイルを使用したマッサージが、体重1,500〜2,000gの早産児の体重増加に有益な効果がある可能性を示唆しました。

体重増加は早産児が十分に成長して退院できるかを判断する重要な指標であり、オイルマッサージによる体重増加の促進は、入院期間を短縮するだけでなく、医療費の削減にもつながります。

このようなシンプルかつ安全なアプローチ方法は、早産児の発達をサポートする選択肢として、今後より注目を集めていくでしょう。

参考文献:https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC8322543/    

訳:Nanami Hamashita